会社概要
• 業種:食品(主にたばこ製品) 。JTはタバコ専売公社の民営化による会社で、国内外で紙巻たばこ・加熱式たばこを製造・販売しています。
• 時価総額:約9兆4,560億円(2025年9月時点) 。
• 主要事業:売上高の約87%をタバコ事業(国内・海外たばこ)で占め、主力製品に加熱式たばこ(プルームなど)があります。2018年時点でタバコ事業が売上高の87%(国内28%、海外59%)、医薬品事業約5%、加工食品事業約7%を占めています 。特に海外たばこ比率が高く、グローバル市場でシェアを拡大しています。
配当情報(2025年時点)
• 予想配当利回り:約4.8%(2025年) 。2025年12月期の年間配当予想208円(中間104円+期末104円)に対する株価を基にした予想利回りです 。
• 年間配当金(1株あたり):208円(2025年予想) 。2024年は97円(中間)+97円(期末)の合計194円で据え置き、2025年予想は中間・期末とも104円に増配予定です 。
• 配当性向:2025年予想で約74.8% (連結)。JTは「配当性向75%程度を目安」と掲げており 、2024年度も実質的な目標値付近での配当を維持しています。
• 権利確定日:中間配当は6月30日、期末配当は12月31日を基準日に年2回。中間配当金は9月上旬、期末配当金は3月下旬に支払われます 。
過去の配当推移(2015年~2024年)
下表は1株当たり年間配当金の推移です。2015~2019年にかけては毎年増配が続きましたが、2020年は154円で据え置き、2021年に減配(154→140円)しました。その後、2022年に大幅増配(188円)、2023~2024年は194円で横ばいとなっています 。
年度 | 1株配当(円) | 株価(年末) | 配当利回り | 増配率 |
2015 | 118 | 4471 | 2.64% | ー |
2016 | 130 | 3844 | 3.38% | 10.17% |
2017 | 140 | 3631 | 3.86% | 7.69% |
2018 | 150 | 2616 | 5.73% | 7.14% |
2019 | 154 | 2432 | 6.33% | 2.67% |
2020 | 154 | 2102 | 7.33% | 0.00% |
2021 | 140 | 2322 | 6.03% | -9.09% |
2022 | 188 | 2661 | 7.07% | 34.29% |
2023 | 194 | 3645 | 5.32% | 3.19% |
2024 | 194 | 4080 | 4.75% | 0.00% |
出典:JT「株主還元方針・配当」(連結配当性向、1株配当の推移)
財務データ
• 売上高推移(連結):売上収益は近年2~3兆円台で推移。2015年(2015年12月期)約2兆2,528億円、2020年は約2兆925億円、2024年は約3兆1,498億円となっています 。
• 営業利益・純利益推移(連結):2015年12月期の営業利益は約5,652億円、2018年にピークの約5,649億円。その後は減少し、2023年は約6,724億円、2024年は約3,235億円と減益に転じました 。親会社帰属純利益も2023年4823億→2024年1792億円に大幅減少しています 。
• ROE/自己資本比率/フリーCF(直近年):直近実績(2024年12月期)でROEは約4.7% 、自己資本比率は45.0% 。2024年の営業CFは約6,300億円、投資CF約-4,398億円 で、フリーキャッシュフローは約1,902億円(6300−4398)と豊富に創出しています。
今後の見通し
• 中期経営計画:JTは2025年~2027年の「経営計画2025」で、全社利益の年平均「high single digit(高い一桁%)」成長を目指しています 。配当については「75%前後を目安」としており 、強固な財務基盤を維持しつつ安定的な株主還元を継続する方針です。さらに米国Vector社買収などで海外事業を強化し、事業投資と株主還元のバランス向上を図る計画です。
• 業界トレンド:国内では喫煙率が低下傾向で、市場規模は縮小しています(2013年19.3%→2023年15.7%) 。一方、JTは海外市場へのシフトを加速しており、2023年の総販売量約5,401億本のうち約90%が海外向け 、海外売上比率は7割超に達しています。新カテゴリーでは加熱式たばこなどRRP(リスク低減製品)の市場が世界的に拡大しており、2022年には中国除くRRP市場が約400億米ドル規模に拡大すると見込まれています 。JTも「プルーム」シリーズでこの潮流に対応しており、こうした成長市場が今後の成長ドライバーになると期待されます。
まとめ
• 配当の安定性:★★★★☆ – JTは配当性向を75%前後に設定し、長期的に高い還元を維持しています。2015年以降ほぼ毎年増配・据え置きしており、2022年には増配しています 。高い業績連動配当政策の下、今後も安定した配当が期待されます。
• 成長性:★★★☆☆ – 国内市場は縮小していますが、JTは海外(特に新興国)で積極展開しており、海外売上比率は約7割に達しています 。加熱式たばこなど新製品の伸びも追い風です。ただし国内規制や減煙傾向は逆風で、成長余地には限界もあります。中期計画では高い一桁成長を掲げていますが、成長率は控えめです。
• 株価の割安度:★★★☆☆ – 直近株価はPER約17倍(予想PER) と市場平均並みで、高配当株としては利回り約4.8%と魅力的です 。ただしタバコ事業への依存度が高いため、ESGリスクや将来の規制強化を考慮するとバリュー株としての割安感は中程度と言えます。
注:本レポートのデータ・数値はJTの公式IR資料(決算短信、統合報告書)や株式情報サイト等から引用・集計したものです。
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