会社概要
• 業種: 卸売業 。
• 時価総額: 約13兆9,118億円(2025年9月10日時点) 。
• 主要事業: エネルギー・資源、機械、化学品、食品、生活関連など幅広い分野を手がける総合商社です。事業は「地球環境エネルギー」「マテリアルソリューション」「金属資源」「社会インフラ」「モビリティ」「食品産業」「S.L.C.(戦略投資・ロジスティクス・建設等)」「電力ソリューション」の8つのセグメントに分かれています 。各セグメントで燃料資源や素材、電力・環境技術、食料等の取引および投資を展開し、複合的な事業ポートフォリオを構築しています。
配当情報(2025年時点)
• 予想配当利回り: 約3.2%(会社予想、2026年3月期) 。
• 年間配当金: 110円(2026年3月期予想、前期100円⇒+10円増配予定) 。
• 配当性向: 約42.2%(2025年3月期実績) 。2024年度から中長期にわたり「連続増配(累進配当)」が基本方針とされており 、安定成長を見据えた配当を目指しています。
• 権利確定月: 3月末および9月末(中間・期末配当) 。
過去の配当推移(2015年~2024年)
年度 | 1株配当(円) | 株価(年末) | 配当利回り | 増配率 |
2015 | 17 | 676 | 2.51% | |
2016 | 27 | 830 | 3.25% | 58.82% |
2017 | 37 | 1037 | 3.57% | 37.04% |
2018 | 42 | 1006 | 4.17% | 13.51% |
2019 | 44 | 966 | 4.55% | 4.76% |
2020 | 45 | 847 | 5.31% | 2.27% |
2021 | 50 | 1217 | 4.11% | 11.11% |
2022 | 60 | 1427 | 4.20% | 20.00% |
2023 | 70 | 2253 | 3.11% | 16.67% |
2024 | 100 | 2604 | 3.84% | 42.86% |
財務データ(直近10年)
過去10年(2015年3月期~2024年3月期)の連結業績推移は以下の通りです。売上高(収益)は2015年度の約7.67兆円から2024年度の約19.57兆円まで変動し、2022年度はエネルギー市況上昇で21.57兆円に達しました。営業利益は2015年度の6869億円(ほぼ前年並み)から2024年度は6674億円で推移し、2022年度には7187億円を計上しました。純利益(親会社帰属)は2015年度6869億円、2016年度-7883億円と資源市況悪化で赤字に転じましたが、その後回復し2022年度に約1.57兆円、2023年度約1.78兆円、2024年度約1.80兆円となっています。直近期(2024年度)のROEは約10.3%、自己資本比率は約43.6% と安定しており、フリーキャッシュフローは2024年度で約1兆1416億円に達しました 。
年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 当期純利益(百万円) |
2015年3月期 | 7,669,400 | 686,900 | 686,900 |
2016年3月期 | 6,925,500 | -788,323 | -788,323 |
2017年3月期 | 6,425,761 | -440,293 | 452,465 |
2018年3月期 | 7,567,394 | -560,173 | 559,636 |
2019年3月期 | 16,103,763 | 584,489 | 620,445 |
2020年3月期 | 14,779,734 | 357,899 | 62,426 |
2021年3月期 | 12,884,521 | 207,399 | 582,825 |
2022年3月期 | 17,264,828 | 718,725 | 1,569,186 |
2023年3月期 | 21,571,973 | 952,444 | 1,778,888 |
2024年3月期 | 19,567,601 | 667,427 | 1,800,849 |
今後の見通し
• 中期経営計画(中経2024/経営戦略2027): 2022~24年度の「中期経営戦略2024」では、投資・収益の両輪で成長と収益性向上を目指し、累進配当を基本方針とする株主還元を掲げました 。総還元性向は30~40%目安とされ、2024年度は約40%を見込んでいます 。最新の「経営戦略2027」でも、この方針を踏襲し、1株110円(2026年3月期予想)を起点とした増配を前提にしながら、機動的な自社株買いなどを活用して総還元約40%を目指します 。成長分野としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進や、再生可能エネルギー・カーボンニュートラル関連、新興国インフラなど、脱炭素やデジタル技術関連の投資を拡充しています。
• 業界動向: 総合商社業界は従来の資源(石油・天然ガス、鉱物等)取引に依存した収益構造が特徴ですが、同分野は価格変動リスクが大きく近年も影響を受けています。実際、2022年度は原油・資源高騰で業績が急拡大した一方、2024年度は資源価格下落で減益となり、2025年度予想も5年ぶり低水準の見通しです 。そのため業界全体で非資源分野(食料・都市インフラ・デジタル・再エネ投資など)への注力が進んでいます 。三菱商事もこれらの中でグローバル資源市況や脱炭素政策、新興国経済の動向に対応しつつ、収益基盤強化を図っていく方針です。
まとめ
• 配当の安定性:★★★★☆ 安定した累進配当方針で長期にわたり増配傾向です。近年は業績が変動しても前年比で着実に増配(2024年度+30円増配)しており、配当利回りも3%台と高水準で推移しています 。業績連動ながら市場期待に沿った配当を維持するため、安定性は高いといえます。
• 成長性:★★★☆☆ 資源市況の回復やDX・再エネ分野などで成長余地がありますが、投資規模の大きい事業ゆえ利益の伸びは緩やかです。近年は世界経済・資源相場の影響で業績が上下しやすく、過去数年は大きく増減しています。中計でもROE二桁維持を目標にしていますが、成熟業態のため大幅な利益拡大は期待しにくく、成長性は中程度と評価できます 。
• 株価の割安度:★★★☆☆ PERは約19倍(予想)と業界平均並みです 。高配当株としては魅力的ですが、資源市況次第で業績変動リスクがあります。PBRやROEなど財務指標は堅調で自己資本比率も高めですが、大手総合商社では三井物産や伊藤忠商事と比べ資源依存度が高いため、市場では「やや割高/妥当」評価と見る向きもあります。総合的には相対的に標準的(3つ星)と判断できます。
注:本レポートのデータ・数値はJTの公式IR資料(決算短信、統合報告書)や株式情報サイト等から引用・集計したものです。
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